「こいつ、俺の知り合いなんだけど」
不気味なくらいにっこり笑ってそう告げる、月島健吾。
「そ、そうだったんだ。知らなくてごめん」
男はへつらうような笑顔で言い訳し、そそくさと去っていく。
あまりにも唐突なこの展開を、あたしは他人事のようにぼんやり見つめるしかできなかった。
頭の中がパニックで、現実のスピードについていかない。
「久しぶりだな」
右上から落ちてきた声にビクッと肩が震える。
反射的にそっちを見上げると、近すぎる距離で目が合った。
初めて間近に見る月島健吾の顔――
怖いものなんかひとつもなさそうな、強気な瞳。
その下にはスッと筋が通った鼻と、男らしい大きめの口元。
……端正な顔立ちって、こういうのをいうんだろうか。
みんなが騒ぐのもわからなくない。
「そんな見つめんなよ。さては俺に惚れて会いにきたか?」
「はっ!?」



