健吾はおでこに手を当てて息を吐いた。
完全に困っている顔。
けど、あたしは心細さに勝てなくて。
「だって……目が覚めたら健吾がいなくなってそうで、怖いんだよ」
「………」
いつからあたしは、こんな甘ったれになったんだろう。
こんなんじゃ、健吾に嫌われちゃう。
あたしはあきらめて電気を消した。
何も言わずにかけ布団をめくったとき、暗闇で影が動いた。
あたしの肩を抱く、健吾の手。
「どこにも行かねぇよ。お前のそばにいる」
そのままベッドに倒され、優しい腕に包まれた。
「健吾……」
バスローブが少しはだけた、健吾の胸が熱い。
あたしの肩の位置にある大きな手を、ぎゅっと握った。
「これで眠れるか?」
「うん……」



