窓ガラスに映る、家族づれの客たち。

子どもに笑いかけるお母さんの姿。


……居心地が悪い。

メニューに視線を落とし、なるべく見ないようにした。
 


オムライスを注文したけれど、あまり食欲が沸かなかった。


「莉子、ちゃんと食えよ」

「ダイエット中だから」
 

見え見えの言い訳をすると、健吾はニヤッと笑った。


「たしかにちょっと痩せた方がいいな。この辺とか」
 

テーブルの向こうから両手を伸ばし、あたしの頬をつまむ健吾。

そしてお肉を横に引っ張られ、変な顔にされてしまう。


「やっ、やめてよぉ! よけい丸顔になっちゃうじゃん!」
 

ジタバタ暴れるあたしを見て、健吾は楽しそうに笑っている。


こんな状況なのに健吾はため息もつかず、あたしを元気づけようとしてくれているんだ。
 

その気持ちがありがたくて、あたしもはしゃいだ。


だけどすぐに不安に負けて、笑顔は沈んでしまった。