ひたすら風を切って走った。
 

流れる景色はしだいに夕暮れ色になり

そして夜に吸い込まれていく。
 


どっぷりと陽が落ちた頃、健吾は国道沿いのファミレスの前で、やっとバイクを停めた。


しびれた足でシートから降りると、久しぶりに地面を踏んだ気がした。


「体、痛くないか?」

「大丈夫。……健吾の方こそ、運転で疲れたよね?」
 

ごめんね、と言いかけたあたしを止めるように、健吾は手をつないで歩きだす。


「このくらい平気だ。心配すんな」

「……うん」
 


夕食時のファミレスはにぎわっていた。

あたしたちは案内された席に座り、無言でメニューを開いた。