気分が落ち着くと、とたんにお腹が空いてきた。
それもそのはず、昼の1時だ。
あたしたちは近所のコンビニで、お弁当とインスタントのおみそ汁を買ってきた。
台所に立ってお湯の準備をするあたしを、健吾はなぜか嬉しそうにジロジロと見つめてくる。
「……何、その視線は?」
「気にすんな。俺が見たいから見てるだけだ」
「それが気になるんだってば」
唇をとがらせて睨んでも、視線をそらそうとしない。
変な健吾。
だけどあまりにも優しい顔をしているから、あたしも文句が言えなくなった。
お弁当は、ただのコンビニ弁当だけどおいしかった。
健吾と食べるものなら、やっぱり何でもおいしいんだ。
すっかり空腹を満たし、テーブルの上を片付ける。
健吾はやっぱり、そんなあたしを嬉しそうに見つめる。
使ったコップを洗おうと、あたしは流し台の前に立った。
スポンジに手を伸ばしかけたそのとき、後ろから抱きしめられた。



