触れている小さな部分から、温もりが伝わってくる。
ただ愛しいというだけで、こんなにも泣けてしまうなんて
あたしは今まで知らなかったよ……。
唇が離れ、あたしは目を開けた。
すぐそばにある健吾の顔。
まだ夢みたいで、もう一度目を閉じたら消えてしまう気がして
あたしは涙を流しながらまっすぐに健吾を見上げる。
「そんな顔で見るなって」
健吾は照れ臭そうに少し笑い、お互いのおでこをコツンとぶつけた。
そして、あたしの涙を指でふいてくれた。
「……ケガしなかったか?」
そう言いながら健吾はあたしの手を取る。
自分でも気付かなかったけど、手の甲に小さな傷ができていた。
さっきミサキと揉み合ったときにできたんだろう。
「うん、大丈夫。痛くないから」
「そうか」



