つぶれそうなほど、きつく抱きしめられた体。
抑えていた想いが胸を突き上げて、目の奥が焼けたように熱くなる。
「そばに……いてもいいの?」
健吾は返事の代わりに、あたしのおでこに触れ、前髪をはらうような仕草をした。
顔を上げて見ると、大好きな優しい瞳があたしを映していた。
「……健吾……っ」
あふれる想いが多すぎて、何も言葉が浮かばない。
あたしの顔に、微かに息がかかった。
ゆっくり近づいてくる唇。
そっと目を閉じると、たまっていた涙が頬を流れた。
静寂に包まれた部屋で
あたしたちは初めて唇を重ねた。



