途中立ち寄ったトイレで、念入りにお化粧直しを始める真由ちゃん。
「莉子ちゃんってメイクしない主義?」
「主義っていうか……したことない」
「うそ~、すればいいのに。あたしの貸してあげるよ」
「いいよぉ」
顔の前で両手をぶんぶん振るあたしに、真由ちゃんがピンクのグロスを近づけてくる。
「これは自然な色だから大丈夫だって。
それにさ、ちょっとでも可愛いくなって先輩に会いたいじゃん?」
え……っ。
「別にそんなの思わないしっ」
「はいはい。あ、しゃべらないでねー」
いきなりお姉さんぶった態度で、真由ちゃんはあたしの唇にグロスをぬり始める。



