「今はやめとこうよ。もうすぐ先生来るし」
「だからその前に行くんじゃん」
「でもほら、まだ先輩が登校してないかも」
とっさに出た言葉だったけど、真由ちゃんは「そっか」と納得。
結局あたしたちは、昼休憩に上着を返しに行くことに決めて、それぞれの席についた。
午前の授業終了のチャイムが鳴ったとたん、真由ちゃんは机の片付けもせずにあたしの席まで走ってきた。
「さぁ! 行くよ!」
「お昼ごはんは?」
「そんなの緊張で食べられないよ~。早く行こっ」
「……うん」
意を決し立ち上がり、上着の入った紙袋を肩にさげて教室を出た。



