「の、飲むって? お酒だよね?」
「当たり前じゃん。カフェオレ飲んでどうすんのよぉ」
たしかにそうだけど。
でも、いいのかな。未成年なのに。
「さすがにお店では飲めないけどさ。自販機で買って、外で飲もうよ」
「外?」
真由ちゃんがニコッと笑った。
「実はここに来る途中、いいとこ見つけたんだ」
すがすがしい潮風を胸いっぱいに吸いこみ、石畳の階段を下りる。
湿った砂に覆われた階段の表面は、歩くたびにジャリジャリと小気味いい音がした。
真由ちゃんの言った“いいとこ”とは、あたしの住む町から自転車で20分ほど走った所にあるビーチだった。
「夜の海とか憧れてたんだぁ」
そう言って笑う真由ちゃんの髪が、風で大きくなびく。
月光が髪の上をすべるように移動していった。
あたしたちは階段の一番下の段に座り
自販機で買った缶ビールやら、コンビニで買いこんだお菓子やらを広げた。



