真由ちゃんの反応は予想以上にでかかった。
カーテンに隠れているとはいえ、きっと教室中に響いたはず。
あたしは人差し指を立てて「しーっ!」と言ったけれど、彼女の耳にはもう届いていなかった。
「莉子ちゃん、ずるい! 昨日は先輩のこと知らないふりしてたくせに!
そんなおいしい話なら、早く教えてよ~」
「ごめん……」
「じゃあさ、先輩の教室まで返しにいくんでしょ?」
「えっ?」
もちろんそのつもりだったけど。
いざ人の口から言われると、やっぱりためらってしまう。
「よし、行こっ。莉子ちゃん!」
「あぁーっ、待って!」
走り出そうとする真由ちゃんの手をつかみ、引き止めるあたし。



