「はぁ……」
公園のベンチに座り、あたしはため息をつく。
脱力して見上げた夜空の、あまりの黒さに吸いこまれそうになった。
これからどうしようか。
こんな遅い時間に行ける場所なんか、思いつかないし。
そのとき、ポケットの中の携帯が鳴った。
明るくてノリのいい着うたに、何ともいえないギャップを感じた。
「……はい」
「あ、莉子ちゃん?」
聞こえてきたのは、真由ちゃんの声。
「あのね、特に用はないんだけど。
莉子ちゃん、何してるかな~と思ってかけたんだぁ」
完全な不意打ちだった。
まさか、自分がここで泣くとは思っていなかった。
真由ちゃんの声を聞いたとたん、あたしは涙が止まらなくなったんだ。
「……真由……ちゃん」
「え!? 莉子ちゃん、どうしたの!?」
急に泣き出したあたしに、真由ちゃんが焦る。



