「何なのこれ、あやしい~!」
「別にあやしくないしっ」
「じゃあ教えて?」
あたしの机に手をつき、上目づかいで迫ってくる真由ちゃん。
昨日会ったばかりなのに、完全に彼女のペースだ。
隠し通すのは無理って気分にさせられてしまう。
しかたなくあたしは教室の隅っこに彼女を連れて行った。
窓のへりに座って足をぶらぶらさせる真由ちゃんは、好奇心旺盛な子どもみたいな顔になっている。
あたしはその隣で窓にもたれ、他の生徒に話を聞かれないために、隠れるようにカーテンを引いた。
「あの、実は……」
生成り色のカーテンのむこうで、男子たちのやかましく騒ぐ声が聞こえる。
あたしは手短に、だけどバカ正直に、あのカラオケ店でのことを話した。
「……マジで!? 超うらやましいんですけどっ!」



