「おい莉子、手ぇ離すな。ちゃんとつかまれ」


健吾にそう言われ、あたしはぎゅっと背中から抱きついた。

香水と夜の匂いが混じり合った、大好きな香りを胸いっぱいに吸い込みながら。
 

離れてしまわないよう、あたしは腕に力をこめる。


この広い背中と、いつまでも触れていたい。



健吾……好き。

大好き……。






「じゃあね、真由ちゃん。おやすみ~」

「うんっ。月島先輩も、おやすみなさ~い」
 

先に真由ちゃんを送り届けたあと、バイクはあたしの家に向かって走り出した。

途中、健吾はTSUTAYAの前で停車した。


「ちょっとDVD返してくる」

「んじゃ、ここで待ってるね」
 

健吾が店内にいる間、店の前に貼られた新作映画のポスターをながめて時間をつぶすあたし。
 


ふと、視線を感じた。


ふり返って見ると、駐車場で座りこんでいる高校生くらいの男の子4人組だった。
 

ニヤニヤと、無遠慮に注がれる視線。

気分が悪くてあたしは目をそらす。