「健吾、あたし……」


何か話さなきゃ、目の前から健吾が消えてしまうような気がした。


胸がいっぱいで

言葉が喉の奥でこんがらがって

うまくまとまらない。


「あたし、もう健吾に愛想つかされたと思ってた。あの噂を聞いてから、全然連絡くれなくなったし、学校でも会いにきてくれなかったし」


「アホだな、お前。まわりの誤解がとける前に俺といたら、よけいお前の風当たりが強くなるだろ」


「だったら連絡くらい――」


「不安だったか?」
 

優しい瞳に見透かされ、心臓がドクンと大きく鳴った。
 

だめだ、あたしはもう、負けてしまう。


強がりも意地も捨てて、裸にさせられてしまう……。



「……不安だったよ、すごく不安だった」
 

駄々をこねる子どものように、あたしは健吾を見上げて訴えた。