「さっさと真実をみんなに打ち明けちまえば、解決するんじゃねーの?」
 

アキさんが髪をかきあげて言った。

やわらかい夕方の光が、色素の薄い髪にきらきらと反射する。


「それは嫌です」
 
と、あたしはきっぱりと答えた。


「ふたりとも、あたしを信用して相談してくれたの。
なのにあたしがここで投げ出したら、友達をふたり裏切ることになる」

「………」
 

こんどはアキさんが目を丸くしてあたしを見る番だった。


そして急に、ぷっと小さく吹き出した。


「そっか、なるほどな」

「……は?」

「あんたはおもしろい人だ」
 


これって、誉められてるんだろうか? 

いや、ただ笑われてるだけっぽいけれど。


あたしが反応に困っていると、アキさんはそのまま涼しい顔で昇降口の方へ歩き出した。


「あ、あのっ、今日はひとりで帰るって、健吾に伝えといてくれますか?」
 

後ろからお願いすると、アキさんはひらひらと手を振って応え、去って行った。