「……ん?」
ある憶測が、ふと頭に浮かんだ。
たぶん、いや絶対、あたしの自惚れだけど。
当たっている可能性は限りなくゼロに近いけど。
もしかして健吾――
わざわざ保健室まで来てくれたのは
あたしとアキさんがふたりきりだと分かっていたから?
「………」
まさかね。
いくらなんでも自惚れすぎだ。
過度な期待は、後で痛い目を見るだけ。
あたしは浮かんだばかりの考えを、ゴミ箱に捨てた。
そのとき、留守にしていた保健の先生が戻ってきた。
「あら、生徒さんが来てたのね」
と先生はあたしを見て言った。
40代くらいの、ふくよかな女の先生。
「すみません、勝手にベッドを使わせてもらいました」
「熱は計った?」
「いえ、ちょっと目まいがしただけなので」



