「顔、赤いな。やっぱり熱あるんじゃねぇか?」
あたしの戸惑いなんかお構いなしに、話を続ける健吾。
ていうか、顔が赤いのはあなたのせいなんですけど。
「ゆっくり休んで、学祭までには治せよ」
その言葉に、胸がじんとなった。
弱ってるときに優しい言葉をかけられると、いつも以上に、心にしみる。
「健吾……学祭のこと覚えていてくれたの?」
「当たり前だ。俺にとっては、高校最後なんだし」
無事に卒業できればの話だけどな。と笑う健吾につられ、私も笑った。
そうだよね、健吾にとっては高校生活で最後の学祭なんだ。
それをあたしと一緒に回ろうと思ってくれるなんて、奇跡なんじゃないだろうか。
「ねえ、学祭って他の学校の子も来たりするのかな」
他校の女の子たちが健吾を見て、これ以上ライバルが増えたら嫌だな。
と思いながら尋ねると
健吾は「さあ」と首をひねった。



