「隣に人がいるし、あんまり大きい声は――」
「ああ」
健吾はカーテンの仕切りを一瞥すると、あたしの寝ているベッドに腰をおろした。
ミシッという音が響き、健吾があたしを真上からのぞきこむ態勢になった。
「えっ、あのっ」
「ん?」
さらに真っ赤になるあたしとは裏腹に、余裕の表情の健吾。
どうやら、小さい声で話せるように接近したつもりらしいけど。
「どうした?」
「……何でも、ないです」
あたしだけがこんなに意識してるのかな。
いくらカーテンとは言え、外とは区切られた狭い空間で、こんなに近くにいて。
酸素が薄くなったみたいに、息が苦しくなるんだ。
それに、隣にいるのがアキさんだというタイミングを、なんとなく逃してしまった。



