……なんでこんなところに健吾が来るの?
あたし、まだ寝ぼけてるのかな。
「大丈夫か?」
幻だと思っていた健吾の姿が近づいてきて、目の前で声がした。
あたしは一気に目が覚め、飛び上がりそうになった。
「え、え? 何しに来たの?」
掛け布団を引きよせ、真っ赤になった顔を隠そうとするあたし。
「お前が保健室に行ったって、ミツルからメールがきた」
「は? ミツルが?」
……それで健吾、心配して来てくれたの?
「てかお前、やっぱり体調悪いんじゃねぇか。無理するなよ」
少し怒ったような口調で言われた。
「うん……」
叱られて嬉しくなるあたしは、変だろうか。
健吾の顔を見るとなぜだか安心して、子どもみたいな気分になってしまう。
あんな嫌な出来事があった直後だから、よけいに。
でも、隣にはアキさんがいることを思い出し、急に恥ずかしくなった。
「あの、健吾」
「ん?」



