「誰も襲わねーから、そんな顔すんなよ」
鼻で笑ってそう言うと、アキさんはカーテンを閉めた。
「………」
いつもマイペースで、他人に興味なさそうな人。
だけど今のあたしには、それが少し嬉しい。
もしあたしがクラス中から仲間はずれにされたとしても、この人だけは変わらずこの調子だろうな。
なぜかそう思った。
あたしは上履きを脱いでベッドに上がった。
静まり返った保健室。
目を閉じると徐々に睡魔が押し寄せてくる。
――どのくらい眠ったのだろうか。
ガラガラ、と扉の開く音が聞こえた。
お母さんが帰ってきたのかな?
寝ぼけた頭でそんなことを思い、目を開けると、カーテンで仕切られた空間にいた。
そっか、あたし、保健室で寝てたんだっけ。
ぼんやりと納得していると、突然、カーテンの内側に誰か入ってきた。
健吾だった。



