真っ白のベッドで半身を起し、気だるい視線をこちらに向けていたのは、アキさんだった。
「あ……」
「なんだ、あんたか」
つまらなさそうに言って、アキさんはごろんと横になる。
「順ちゃんなら一時間ほど戻らないって」
「順ちゃん?」
「保健のセンセー」
あぁ、とあたしは間の抜けた声を出して納得する。
「アキさんも体調悪いんですか?」
「あー、頭痛と腰痛と腹痛」
絶対、嘘じゃん。
自分の部屋みたいに保健室のベッド使ってるし、さすが留年王。
アキさんはシャツのボタンを3つ開けていて、そこから白い肌が見えた。
くっきりと浮かぶ鎖骨がきれいで、妙になまめかしくて、目のやり場に困ってしまう。
「あんたも寝るなら、そっち使えば?」
と、アキさんは隣のベッドを指す。
カーテンの仕切りはあるものの、ふたつのベッドは1メートルも離れていなかった。



