彼女たちが出ていくと、トイレの中は急にがらんと広くなった。
蛇口から、ぽたぽたと水が垂れている。
その規則的な音はまるで、何かへのカウントダウンのようだった……。
午後からの授業はなく、学祭の準備。
少し遅れて教室に入ると、すでにみんなが作業していた。
それぞれグループができている中、あたしは条件反射で真由ちゃんを探す。
……真由ちゃんは、さっきの女の子たちと同じグループにいた。
いつものような明るい笑顔はなく、重く沈んだ表情で。
「あ、来たよ」
グループのひとりが言うと、彼女たちはいっせいにあたしを見た。
全員、同じような瞳。
裁くべき対象を見つけたときの、結束感にあふれる瞳。
真由ちゃんはあたしから目をそらし、悲しそうな、そして苦しそうな顔をしていた。
「あっ、莉子! 手ぇ空いてたら手伝ってくれ」
高い所から声がしたので顔を上げると、脚立に乗って作業するミツルだった。



