学園祭を3日後にひかえた、昼休みだった。
女子トイレで並んで手を洗っていた真由ちゃんが、前触れもなく言った。
「莉子ちゃん、さっきミツルと何を話してたの?」
「え?」
「ふたりで何か話してたじゃん」
鏡の中で目が合った真由ちゃんは、いつもの笑みをまとっている。
だけどどこか違和感を覚え、胸騒ぎが襲った。
あたしは視線が泳ぎそうになるのを必死にこらえ、口を開いた。
「別に、たいした話じゃないよ。テストのこととか」
「ほんとに?」
「うん……」
それを聞いた瞬間、真由ちゃんの表情があきらかに強張った。
「……そう。わかった」
深くうつむき、キュッと蛇口を閉める真由ちゃん。
「ねぇ、莉子ちゃんさ……あたしがミツルのこと好きだって打ち明けたとき、協力してくれるって言ったよね?」



