真由ちゃんの無邪気さが鋭い針となって、あたしの良心をチクチクと刺す。
 

もしかしてあたしは
真由ちゃんを裏切っていることになるのかな。

ミツルの本当の気持ちを、知ってしまったあたしは……




「――莉子、顔色悪いぞ」
 

健吾の声でハッと我に返った。


「そ、そう? ちょっと風邪気味だから、そのせいかも」
 

苦しい言い訳をするあたしを、健吾は怪訝そうに見る。

そしておもむろに、あたしのおでこに手を当ててきた。


「熱は、たいしたことねぇな」

「……っ」


大きくて温かい手のひらの感触。

風邪なんて嘘だったのに、触れられると本当に発熱しそうな気がする。