心の奥底でひそかに抱いていた願いは、文字にすると急に生々しくなって、ひるんでしまう。

あたしはペンを持ったまま、メモとにらめっこして固まった。
 

健吾が読んだら引いちゃうんじゃないだろうか。

調子のってるなんて思われたりしないかな。

でも、真由ちゃんだってあんなに頑張っているんだから。

一緒にまわろうって誘うくらいはいいよね?
 

これ以上考えると勇気がしぼみそうだったので、あたしはメモをテーブルの上に置いて、部屋をあとにした。

 


マンションを出たものの駅への道がわからず、とぼとぼ歩いていると、運よく見覚えのある姿を見つけた。