「……ひとりで寂しくない?」
同情して聞いたわけじゃなかった。
ただあたしは、ひとりぼっちで過ごす夜の長さや、灯りの点いていない部屋の暗さを知っているから。
寂しいって思っちゃうから。
もしかして健吾もそうなのかもって、思ったんだ。
健吾は火のついたライターを持ったまま、あたしをちらりと見た。
そして、鼻で笑って答えた。
「別に。寂しいとか孤独だとか、そんな感傷で自分を甘やかしてるやつを見ると虫唾が走る」
かぁっと顔が熱くなった。
まるであたし自身のことを言われているみたいで。
もちろん、健吾にそんなつもりがないことはわかっていたけれど。
「莉子?」
うつむいたあたしを、健吾がのぞきこんでくる。
強くてまっすぐな瞳。
あたしとは大違いだ。
「どうした?」
「……何でもない」
すると健吾はふぅっとため息をついて、あたしの頭の上に大きな手を置いた。



