「恋々ってかわいい名前だね」



雨登くんに初めて話しかけられた日


誰もいない3階の廊下


雨登くんの声が響いた



「あ、ありがとう…」



「オレとカップル成立しない?」



「え!?」



いきなり告白?

しかも雨登くんに?



あの雨登くんに???



「彼氏欲しんじゃないの?
そのために野いちご入学したんじゃないの?」



「え…別に…そんなつもりでも…
ただ事務所に言われて…」



「よかった!」



「え?」



「それならオレも好都合」



「こーつごー?」



「うん
オレ、卒業したいんだよね

でもさ
ただ卒業したいために
オレのこと本気で好きになってくれた子と
カップル成立したら悪いじゃん
相手は本気なのに…

だから今まで誰とも成立しなかった」



「え…?」



全く意味がわからない

話がよめなかった



「オレは卒業が目的
で…
カップル成立したら注目されるから
恋々の事務所としては好都合だよね?
で…
卒業したら2ヶ月だけ付き合おうよ
その間もフォロワー増えるから…

あ、付き合うって言っても
付き合ってるフリね!
たまに適当にSNSに写真投稿すれば…

だから大丈夫!
ホントに好きにならなくても…

ね!いい考えじゃない?」



野いちご学園に入学して

3日目のことだった



もちろん

撮影されてない場所で言われた



そんなの嘘じゃん



「それでよかったら
オレから告白するから
考えてみて!

ヨロシク、恋々」



たしかに好都合



でも…

みんなを騙すことになる