———キーンコーンカーンコーン
午前の授業がおわり、放課後を知らせるチャイムが鳴る。
あれから特に何も起こらず、トウヤと目が合うこともなかった。
何も聞かず、空気を察知してくれているならば有難いことだ。
ほっと胸を撫で下ろす。
しかし、クラスの雰囲気はガラリと変わった。
チャイムが鳴ると同時に、廊下側の一番後ろの席、私とは真反対の席に人が集まる。
転入生の席だ。
トウヤは昔と変わらず、明るくて積極性のある性格。
午前の授業で、科目の先生たちは新しい転入生に目をつけて、何かと問いかける。
その返しが上手く、時には冗談も含ませてクラスを笑わせていた。
ムードメーカーになるのに時間はかからず、
本当にすんなりとクラスメイトの心を奪っていった。
そんなわけで、女子のみならず、男子生徒たちも「松沢!」なんて叫んで囲っている。
全然変わってないな、、
ぼんやりと廊下の方を見ながら、そう心の中でつぶやく。
「——ミズキ!」
聞き慣れた少し高い声が私の耳を通る。
はっと我に帰り、私の席の元へ向かってくる人物に目を向けた。
「帰ろう?」
鞄を肩にかけて、既に準備万端のエリが言った。
「マナミとノッチは少し部活の集まりがあるんだって〜。引退したっていうのに、大変だよねえ」
気がつくとマナミとノッチの姿は教室になく、私がその理由を問いかける前に、エリがサラッと答えた。
私は本当にぼーっとしてたんだと悟る。
「そうだね。、、ごめん、待たせちゃった。
行こうか」
慌てて教科書やら何やらを鞄に詰め込んで、
ジーッとチャックを閉める。
「うん、行こうっ」
私が椅子を引いて立ち上がり、その椅子を戻した動作を見て、エリがにっこり頷いて歩き出した。
