そんな私の言葉に、ニヤリと口角を上げる彼。
「覚えてんじゃん」
彼の勝ち誇った顔が目に浮かぶ。
当時流行っていたテレビゲームで、私とトウヤはよく競っていた。
当然、私は弱かったけれど、
優しいトウヤは手を抜いてくれたりして、
これまでの戦績を作り上げていた。
そんな過去が仇になるとは、、
「なんで知らないフリすんだよ。寂しいじゃねえか」
口を尖らせ、私を見つめる。
逃げられないような目力で、私はタジタジに答える。
「あ、いや、覚えてないんじゃないかと思って、、」
トウヤの反応を見ると、それを疑う様子もなく、ふーん、と一声。
そして、急に切り替えて私を問い詰める。
「まあ、ミズキがいてくれて良かったわ。
でも、なんでコッチに通ってんの?中学の奴ら、ほとんど南高だろ」
—— ドクンッ
心臓が嫌な方向に胸打つ。
あの頃の記憶が頭をよぎる。
グッ、と力んだ掌に爪は食い込み、
その間を滑るように汗を感じていた。
何か、言わなくちゃ。
「あ、えっと、、なんとなく、、」
こればっかりは、彼の目を見て答えることは出来ず、視線を階段の手すりに移して答えた。
声が微かに震えていることが自分でもわかる。
今朝も同じような質問があったはずなのに、スムーズに答えることができなかった。
「そっか。ま、こっちの高校の方が、校則緩いしなっ」
少し間が空いたあと、気にしてないような彼の声に、一息つく。
「あ、そうだ、ミズキ。一緒に体育館行こうぜ、次始業式だろ」
