35歳の夏海
「・・・海 夏海」彼の途切れ途切れの声が聞こえる・・
「夏海 もうダメ 一緒に ・・」
そう言った後に彼と私は高みを向かえそのまま彼の体重を身体に感じながら
汗ばんだ背中に手を廻す・・
「夏海、明日は休みだから泊まっていけよ」
「う~ん そうし・・」
言葉の途中で部屋の中に着信音が響く。
私のはバイブにしているから彼のスマホ・・
一瞬彼が私を見る。
私は何も言わないで彼のシャツを羽織ってそのままキッチンに
飲み物を取りに立ち部屋の扉を閉める直前に
「パパ あのね~・・」と元気な男の子の声が耳に入ってしまう。
ペットボトルから直接口に水分を含みながら
リビングに散らかった自分の服をかき集め着替え始める。
時計をはめた時に寝室との扉が開く・・
着替えた私をみて上半身裸の彼は目を細める・・
「泊まっていけよ」
「うん。やめておく」
「今の電話で怒った?」
「怒ってないよ。 ただ気分が乗らなくなっただけ じゃあ、月曜に」
「夏海、明日は?」
「やめておく」そう言って部屋を後にする。
外は思っていた以上に寒かった。
この寒さはスキー場で一人部屋に残された時の寒さを思い出すから嫌いだ。
足早にそこから逃げるように一歩踏み出す。
多分、今振り向いて上を見たらベランダに居る彼と目が合う・・
だから私は振り向かないで駅に向かう。
彼は単身赴任でこっちに来ている妻帯者だ・・
もう、二年もこんな関係が続いている。
彼が好きか?
違う彼の声が颯真と似ていた・・
だから彼に「夏海」と呼ばれるたびに私は颯真に呼ばれている様な錯覚に陥る。
私は彼の声の中に颯真を探している。
解っている自分の行動が誰かを傷つけているのを・・
そして自分自身をも傷つけているのを・・
でも、そんな自分をどうする事も出来ない・・
だからこの声に縋っている。
きっと私は明日又電話で「来て」と彼に言われたらこの道を通うのだろう・・
そして彼に抱かれながら颯真に抱かれている錯覚に陥りたいだけの為に
彼の部屋の前に立つ。
(完)
「・・・海 夏海」彼の途切れ途切れの声が聞こえる・・
「夏海 もうダメ 一緒に ・・」
そう言った後に彼と私は高みを向かえそのまま彼の体重を身体に感じながら
汗ばんだ背中に手を廻す・・
「夏海、明日は休みだから泊まっていけよ」
「う~ん そうし・・」
言葉の途中で部屋の中に着信音が響く。
私のはバイブにしているから彼のスマホ・・
一瞬彼が私を見る。
私は何も言わないで彼のシャツを羽織ってそのままキッチンに
飲み物を取りに立ち部屋の扉を閉める直前に
「パパ あのね~・・」と元気な男の子の声が耳に入ってしまう。
ペットボトルから直接口に水分を含みながら
リビングに散らかった自分の服をかき集め着替え始める。
時計をはめた時に寝室との扉が開く・・
着替えた私をみて上半身裸の彼は目を細める・・
「泊まっていけよ」
「うん。やめておく」
「今の電話で怒った?」
「怒ってないよ。 ただ気分が乗らなくなっただけ じゃあ、月曜に」
「夏海、明日は?」
「やめておく」そう言って部屋を後にする。
外は思っていた以上に寒かった。
この寒さはスキー場で一人部屋に残された時の寒さを思い出すから嫌いだ。
足早にそこから逃げるように一歩踏み出す。
多分、今振り向いて上を見たらベランダに居る彼と目が合う・・
だから私は振り向かないで駅に向かう。
彼は単身赴任でこっちに来ている妻帯者だ・・
もう、二年もこんな関係が続いている。
彼が好きか?
違う彼の声が颯真と似ていた・・
だから彼に「夏海」と呼ばれるたびに私は颯真に呼ばれている様な錯覚に陥る。
私は彼の声の中に颯真を探している。
解っている自分の行動が誰かを傷つけているのを・・
そして自分自身をも傷つけているのを・・
でも、そんな自分をどうする事も出来ない・・
だからこの声に縋っている。
きっと私は明日又電話で「来て」と彼に言われたらこの道を通うのだろう・・
そして彼に抱かれながら颯真に抱かれている錯覚に陥りたいだけの為に
彼の部屋の前に立つ。
(完)



