身代わりでも傍にいたかった


11時に颯真達が来るとあっという間にに華やかな我が家に変貌する。

やはり女の子が居ると全然違う・・
杏那ちゃんは定位置のように海斗と千歌の間に座りご満悦だ。

二年生の海斗と年長の杏那ちゃん 
平日一緒に居る時間が多いのでまるで兄妹のように仲が良い・・
当たり前の様に会話が弾む・・

「私が小学校に行く時は隣に海斗が何時も居てね。」

その発言に杏那ちゃん以外が固まり「・・・・」しばし皆が沈黙する。

千歌が「杏那、杏那は海斗君と一緒には行けないの。」

「どうして?」

「家は近いけれど行く小学校は違うの・・」

「いや~杏那は海斗と一緒に行くの。」

「それは無理なの」

「いや~小学校になったら海斗と一緒に行けると思っていたから我慢してきた」

と言って泣き出した・・

海斗が「杏那、何を我慢してきたの?」と聞くと

「海斗は何時も女の子と一緒に歩いている・・海斗の隣は杏那なの!」

「???」

「海斗は朝 学校に行く時に隣に何時も同じ女の子がいる。髪の毛がフワフワしている・・」

「あ~斉木  心愛(ここあ)ちゃんね。杏那ちゃん心愛ちゃん見た事あるのね。
心愛ちゃんのお家はエレベーターの直ぐ前の部屋の女の子で海斗と同じ年だからよ。」

「杏那、僕と斉木は友達じゃない同じ班だからいるだけだ」

「でも・・杏那は海斗と同じ学校に一生行けないの?」

「杏那、僕は行きたい中学がある。杏那も一生懸命勉強したらその学校に一緒に通える。
杏那 頑張れるかい?」

「うん。頑張れる」

「じゃあ約束だ。杏那が頑張って一緒の学校に通えるようになったら毎朝迎えに行く」

「本当?」

「約束する。だから泣くな」

こくんこくんと首を縦にふる杏那ちゃんに颯真は苦笑いし

「パパより海斗君なの?」と拗ねていた。

「さぁさぁ小さな王子とお姫様の学校が決まったところで食事にしましょう」

と千歌が場の雰囲気を明るくしてくれる。

私も「そうそう、小さなお姫様と王子様は食事の後にファッションショーをしてね」

「真央、杏那の洋服を又社販で買ってくれたの?」

「うん。そんなに種類は無いけれどね 海斗とお揃いで何枚かあるから・・」

「何時も有難う。」

「こちらこそ海斗を何時も有難う」

「真央ちゃん、有難う杏那ファッションショー大好き」

「僕はソロソロ ファッションショーはやりたくない」

「海斗、そんな事言わないで。杏那 海斗と一緒にしたい」

「杏那が言うなら・・」

その言葉に今度は私が苦笑いしてしまう・・
(私のお願いは断るのに・・杏那ちゃんのお願いは素直に聞くのね)

と少し寂しく思い顔を上げると翔が優しく(大丈夫だよ)と言うような優しい瞳を
私に向けてくれる・・(あ~ 私は翔と一緒に居られて本当に幸せ)

小さな事件はあったけれど私達は楽しい休日を過ごした。

森家が帰った後ソファーでうたた寝していた海斗を翔が抱っこしてベッドまで運ぶ。
二人で寝ている海斗を見て

「海斗、生まれてくれて有難う」と二人で声にする・・

リビングに戻った私に翔が

「コーヒーと紅茶どっちにする?」

「ガトーショコラにはコーヒーかな?」

「俺がコーヒー淹れるから真央、座っていて」

私はソファーにお行儀が悪いが足を投げ出して座った。
隣にコーヒーとガトーショコラを持って来た翔が座り
投げ出した足をマッサージしてくれる。

私達はソファーでお互いを労り会い、ケーキを食べさせ合い束の間イチャイチャする。

ふと、眼が合う・・そのまま引き寄せられるようにキスをする。

最初は啄むように軽く・・角度を変えて何度も何度も

「っ・・・」

「・う・・」

「は・・ぁ」どっちの声か解らない声がリビングに響く。

急に体が宙に浮く。

女の子の永遠の憧れのお姫様抱っこに驚き慌てて翔の首に手を廻す。

そのまま寝室のベッドに優しく下ろされる・・

「真央、明日は予定無いよね?」こくんと頷く・・

瞬間にさっきの優しいキスとは違い口内を蹂躙しお互いの唾液が混ざる音がする。

「先に謝っておく 今日は優しく出来ないかも」

「うん・・優しくしないで。翔を感じていたい」

そしてその言葉通り日付が変わってからも愛され続け
意識を手放したのは何時だったかも解らなかったけれど、手放す瞬間に

「俺だけの真央・・お帰り。俺の真央」と言われた。

海斗の手が離れ又第二の夫婦としての歩みが始まったのをお互いが認識した夜だった。

翌朝、二月なのにお日様の暖かい日差しと翔と海斗の微かに聞こえる会話で目覚めた。

手を伸ばすとそこには翔の温もりは無かったけれど
心は温かく幸せな気持ちで一杯になった。
22歳の時には翔に愛されていないと思い絶望していた・・
それが35歳で気怠いのに穏やかに朝を裸で迎えて
身体中に付いている赤い花びらが嬉しくてたまらない・・・

しあわせだ・・・