一体なにがどうなっている?
真央の顔をみる。が先程の表情は二度と表れなかった。
そのかわり取ってつけたような笑顔・・・待って。
真央のこの顔・・・
もう、この顔しか最近見ていない・・
色気だと思っていたのは憂いだったのか、
照れてると思っていたのは儚さだったのか、
正面に居る翔を見るがその表情は昔と変わらない・・
隣の夏海を盗み見る・・
そこに居たのは翔を見る女の夏海だった。
夏海に就職先が翔と同じ企業だった事を確認したくてでも怖くて言い出せなかった。
そんな時、ベッドの中で働き始める前にユックリ旅行でもしようと持ち掛ける・・
「颯真の会社休み取りづらいの?」
「ま、新入社員はそんなに簡単に休めないだろう」
「そうなの?」
「夏海の会社だって結構ハードじゃないの?
翔は結果を出せば若くても出世できる能力重視だから決めたって言っていたから
裏を返せば頑張んないと置いてきぼりになるって事じゃないの?」
「え?」
「夏海はマスコミ関係かと思った」
「うん、そのつもりだったのだけれど、不規則だから颯真ともすれ違いになるのが嫌だから・・・」
「俺の為?超~嬉しい」
杞憂だったのだ・・そう信じた 信じたかった。その一言を。
心に小さなささくれがあるのを気が付かないフリをしていると、
そのささくれは修復した、と思う位今までと変わらない日常だった。
気のし過ぎだ・・
真央にも何となく話してみようと思っていた矢先のバレンタインデーの夜に
夏海に連絡するが何度コールしても「電源が入っていません」
の虚しいメッセージが繰り返される。
ささくれだった傷が切り傷になってしまったような気がした。
翌日、大学で夏海に昨夜の連絡がつかなかったことをさり気なく聴いてみた。
聴きながら心臓がバクバクしていたが
「電源が切れていた」
その先に「話があるのだけど」と言われるのではと思い身構えていたのに
先は続かず気が抜けたが
四人がなんとなくバラバラな様な気がしたが夏海の言葉を
又、信じる事にした。
翔は相変わらず忙しそうにバイトに勤しんでいた。
それは真央にとっておきのプレゼントを贈る為・・
それを聴いたから余計夏海の事は杞憂だと思った。
それに誰が見ても翔が真央しか見ていない事は確かだった。
その翔に今更横恋慕する理由がなかったから。
それなのに俺たちの距離は拡がる一方で止めようがなかった。
どんなに見つめても見つめ返される事の無い瞳、
どんなに思いを伝えても帰って来ない声、
どんなに触れていても温かさを感じなくなった身体。
虚しさと切なさだけが膨らむ感情に答えを出さないとならない時期が来ているのを悟っていた。



