身代わりでも傍にいたかった


大学三年生のホワイトデー迄は確かに自他ともに認めるバカップルだった。

二人じゃなくてもイチャイチャしていた。

最初は翔と真央に刺激させたくてカップルは良いものだよ

と見せつけるためだったけれど何時の間にかそれが当たり前の様に心地よかった。

「夏海大好きだよ」

「私も颯真が大好き」と・・

それが
「夏海好き」と言っても

「私も・・」と言われるようになったのは・・

あんなにうるさい位「颯真」「颯真」と呼ばれていたのに

「ねえ」「あのね」と名前を呼ばれなくなったのは・・

何時からなのだろう・・・

四人で居る時に夏海の背中に手を廻すと身体が ピクリと反応するようになったのは・・・

就活が大変だから?と自分に納得させていた。

でも、それは違うと解ったのは四年の10月だった。

四人に内定が出て漸くピリピリしたムードから脱却し、

就職先の事を口に出せるようになった時、衝撃的な事が夏海の口から出た。

「翔と同じ会社なの・・腐れ縁だよね」

との一言・・

翔の内定していた会社は知っていたしそこを選んだ理由も・・

夏海はマスコミ関係じゃなかったのか?

俺の斜め前、翔の隣に座っている真央の顔が一瞬歪んだのが見えた。

本当に一瞬。

直ぐに何時もの穏やかな真央の笑顔になっていた。

パキンと心の何かが音を立てたような気がした。