翌日からの新人社員研修をなんとかこなしながら茫然と日々を過ごす。
夏海に聞いてみる?
イヤ、あの手紙を読む限り夏海との仲を疑っていた
夏海と連絡を取っているとは思えなかったし話したくなかった。
自己紹介の時にも同じ大学なので知り合い?と聞かれたが
「大学は広いから」
と言葉を濁してきた。
今更口をきいて面倒に巻き込まれたくないと思っている。
何とか考えないと・・
夜の自由時間に真央の就職した会社のホームページを見る。
真央は経理を希望していたから多分本社勤務。
未だ四人が仲良かった頃に会社の事を色々話した。
その時に勤務時間の話も出ていた
俺たちは9時~17時。
颯真は9時30分~17時30分。
真央は10時~18時と、
だから飲み会の開始時間は19時だね~なんて無邪気に話していた。
蓋を開けてみたら四人で呑みに行く事は一生無い事になるとは
あの時は誰も思わなかっただろう・・
真央の勤務先を本社と辺りをつけ自分が18時前に到着するには定時少し過ぎには出ないと・・
定時に上がれるようになるまで研修が終わり本格的に本社勤務になってから二か月近くかかった。
今日を逃したら今度は何時かは解らなかった。
真央の会社に着いたのは五分前だった。
その建物は個性的で直ぐに解った。
18時を過ぎると何人かが建物から出てくる。
又そこから出てくる人も個性的だった。
スーツを着ている人も居るが自分の会社には居ないスーツ姿で
男の自分から見ても格好良かった、ラフなスタイルの若者、
サングラス姿で出てくる人・・
そこに立っている自分が褪せて見えた同じ会社員の筈なのに・・
そんな中、真央の姿が視界を捉えた。
少し年配の女性と一緒に笑っていた・・
真央は今まで見たことも無い大人っぽい格好をしていた・・
まさかデート?
と思わせる位に素敵だった。
もしかしたもう他に誰か居るのかも・・
遅かったかもと頭の中はグルグルとネガティブな思考に支配される。
このまま帰った方が良いのか・・とも思ったが
もう、後悔したくなかった。
「真央」
と振り返らない君にもう一度
「真央」
と呼びかける・・
その瞬間、彼女の脚は一歩踏み出そうとしているように見えた
彼女は逃げようとしている。
逃げるって事は未だ大丈夫だよな。
他に心奪われていたら堂々と「嫌い」と言えるよな?
と自分に発破をかけた。
「真央、逃げないで」
三ヵ月ぶりに見る彼女は少し痩せて、メイクもしていて凄く綺麗だった。
着ている服は色香を醸し出す手助けをしているように感じた。
一緒に居た時には見たことないその姿に嫉妬し、胃がムカついた。
入社当時の初々しい真央を観たかった・・
綺麗になっていくその姿を自分が一番身近で感じていたかった。
三ヵ月
短くて長い二人の距離。
真央を失ったら自分は何を糧に、日々を生きていけばいいのだろう?
誰と楽しさや、喜びや、苦しさを分かち合えばいいのだろう?
誰が俺に微笑んでくれて癒してくれるの?
この三か月間が永遠に続いたら耐えられない・・
どんな事をしても真央の誤解を解かないと・・
真央に二人で話せる所と言ったのは
もしかした新居に招待してくれるかもと、淡い期待もあった。
見事に玉砕。
真央、もう俺に触れられるのも嫌?
二人きりの空間に居たくない位嫌い?
口に出せない質問が頭をグルグルする。
突然スマホを取り出して電話をかける真央。
誰かと約束していた?
あ~もう本当に嫉妬で狂いそうなのに平然としている真央に苛立つ・・
自分だけが好きが膨らんで、真央の気持ちは無くなってしまったのかも・・
電話を切った後、自分が想像していた相手では無かった事に心底安堵した。
首の皮一枚でつながった・・・



