身代わりでも傍にいたかった


食べ終わり食後の珈琲を飲みながら翔が口を開く

「バレンタインデーの日・・夏海に呼び出された。颯真の事かな?位に軽く考えて着いていったんだ夏海に告白されて死ぬほど吃驚した。就職先もわざわざ同じ会社にエントリーしたと聞いて気持ち悪くなって・・」

「気持ち悪い?」

「だって颯真は俺の友達で真央は自分の友達なのに簡単に裏切って・・そんな人を好きだったなんて・・自分自身にもガッカリした。あの日夏海にもう二度と話しかけないでくれって言ってから大学でも会社でも夏海と話していない」

「でも、あの日から藤原君 私と会ってくれなくなったから夏海と一緒にいるのかと思った。」

「真央、藤原君ってキツイ」

「でも・・私達もう・・」

「俺、真央と別れたつもりないから・・」

「夏海と付き合っていなかったのは解ったけれどじゃあどうして私達は会えなかったの?どうして今なの?」

「それは・・・」

他に好きな人が出来たって言われるのかと思ってテーブルの下で手にギュッと力を込めた。

翔は背広の内ポケットをゴソゴソとし小さな箱を出し、

「真央、手を出して」

と言い掌にその箱を握らせ

「開けて」

と・・・これは・・大きさからして多分・・

何も動かせなくて固まる私に

「真央」

と促す・・・
震える指でリボンを解き小さな箱を開ける・・
そこにはプラチナのシンプルは指輪に埋め込むように一粒ダイヤの指輪が輝いていた。

「これ・・」

「真央が就職する前に買ってこの指に付けたかった」

と言って左手の薬指を翔の長い指がなぞる。

「就職したら離れ離れになって真央に俺って言う恋人が居るって大学に居る時の様に威嚇出来ないから・・指輪していたら俺の者って誰にでも解るように・・だからバイトのシフト沢山入れていた。でも、真央の手紙読んだ時に真央を失ったら意味ないって解った。俺のやっている事で真央が苦しんでいたら本末転倒だよな。本当はもっと早く会いに来たかった。でも、前の部屋は引き払っているし、着信拒否されてるし・・俺は入社後一か月研修センターに缶詰めで新入社員の俺が定時に上がれたのが今日。真央の定時18時に間に合うように急いで来た。出てくるまで何時間でも待つつもりで」

と唇を歪めながら口にする。

「私、私」

言葉が見つからず涙だけがとめどなく頬を伝う・・

「真央、嵌めてくれる?」

泣きながら首を縦に振る事しか出来ない。
翔は箱を真央の手から取りそこに輝く指輪を真央の指に嵌める。
そこに輝くのが当然だという位に真央の指にピッタリと収まり似合っていた。

「真央、大好きだよ何時までも僕の側にいて。」

「翔、翔 私も翔が大好き。毎日寂しかった。苦しかった。怖かった。翔って呼びたかった


「うん、うん。俺も真央の手紙貰って・・失うなんて想像出来なくて・・真央が他の人を想っていても傍に居たいと思った。真央 俺を部屋に連れて行って」