身代わりでも傍にいたかった


藤原 翔様

 初めて翔に手紙を書きます。
この手紙を読むころには入社式は終わっていますね。

翔と付き合っていた期間幸せと切なさが入り混じった三年間でした。
翔に付き合おうと言われた時は本当に嬉しかった。

翔に一目ぼれしていたのに勇気の無い私は友達のポジションで満足しようとしていました。
でも、彼女になれて嬉しかった。
何時までもこの幸せが続く、一生、傍に居られると勝手に思い込んでいました。

覚えていますか?
翔と私が同じ日に高校の同級生と会うといって会えなかった土曜日の事を。

あの日私は新宿の居酒屋 「花いちもんめ」に居ました。

襖を介すだけの個室の隣で呑んでいたのは翔でした。
聴くつもりは無かったのですが偶然に耳に入った翔たちの会話・・
翔はズーと夏海が好きだったと知りました。

翔は私とデートしながら夏海とデートをしていたのだ、
私を抱きながら夏海を抱いていたのだと・・
それでも傍に居たかった・・大好きだったから。
でも、夏海と就職先が同じと聞いて
翔の夏海に対する思いの強さに叶わないと・・
いずれ来る別れに日々怯えていました。

四月になれば私が傍にいる意味は無くなる・・
それまで傍に居たいと思っていました。

でも、バレンタインデーに偶然通った研究棟の中庭で
翔と夏海の会話を聴いてしまいました。
両想いだったのですね。
私が居なければ二人は付き合えると解っていたのに私は別れを言えませんでした。
大好きな人の幸せを喜べなかった・・

翔の顔を見て別れを言う事も言われることも今の私には耐えられません。

なので就職と同時にサヨナラ出来るように・・
今までの様に会えなくなるから多分、
日々に疎くなっていけると思い引っ越しをしました。
もう、会う事も無いと思います。
未だ、お幸せにとは言えませんが何時か笑って
(おめでとう)と言える大人になりたいと思います。
         
                       柳井 真央
           
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