身代わりでも傍にいたかった


俺は就職して遅くても4年後には真央と結婚しようと計画を練っていた。
真央には就職したい企業があった。
彼女はどうしてもそこで働きたいと付き合い始めの頃から話していた。
そうすると暫くは共働きになるから
なるべく転勤がなくて安定した大企業で
いづれ真央と未だ見ぬ我が子を支えられる程の年収が欲しかった。

それでエントリーした会社から内内定が出た時は明るい未来しか見えなかった。

ただ、最終面接の時に夏海が居たのは吃驚したがさほど気に留めていなかった。

内内定を貰ったと真央に報告した時

「うん。夏海からきいた」

と答えた君の顔を何でちゃんと見ていなかったのだろう。
俺は真央との未来が一歩進んだことに浮かれていた。


大学生活最後のバレンタインデー直前に俺は真央に昨年作ってくれた
ガトーショコラをリクエストした。

真央と付き合うまで毎年大量のチョコレートを貰っていたけれど
付き合いだしてから全部断っていたから真央からのガトーショコラが楽しみだった。

貰えるのが嬉しくて朝、大学の門で待っていた。
他の女子にも真央からしか貰わないと周知させたいのと
真央を狙っている男子にも牽制したくて毎年目立つ所で強請っていた。

本当にその日はウキウキしていたし、
貰った時は幸せだった。

つい最近始めたバイトも頑張れるような気がしていた。
バイトは真央には内緒だった。

真央にサプライズでプレゼントしたかったから・・

でも、隠さない方が良かったんだ。

なんでも正直に話していたら君が傷つかなかった。
隠すことで逆に傷つけていた・・

好きな子から今年もリクエスト通りに貰え浮かれていて
自分たちには何も起きないと高を括っていた。

ガトーショコラを何時食べるか真剣に悩んでいた時

「翔、一寸いい?」

と夏海に呼ばれた。