「ママー、あの人たちちゅーしてるよ~」 この声は花莉の声ではなく、子どもの声。 俺はぱっと花莉から離れた。 きょろきょろと周りを見ると、さっき声を出したと思われる小さな子どもは俺たちでない他のカップルを指さしていて。 見られたのは、俺たちじゃなかったみたいだ。 「……もう少し見たら帰るか」 小さな声で花莉に言えば、 「……うん」 と返ってくる返事。 それから俺たちは強く手を繋いで、眩しいほどに輝くクリスマスツリーを眺めていた。