何度も何度もポケットの中に手を突っ込んで、プレゼントを確認するが……やっぱり、ない。
変な汗が出てくる。
俺、ポケットの中にいれておいたはずだよな?
だよな!?
ここにないってことは、まさか……
落とした!?
いや、でも、今俺が着てるコートはポケットがでかいやつだから落とすことはそうそうないんじゃないか……?
俺はよく考えて。
数秒後に思い出したこと。
昨晩から今日着るものを用意していたけど、出かける直前に着るコートを変えた、ということに。
今着てるコートのほうが温かいだろうな、って思って変えたんだった……。
ってことは、今花莉へのプレゼントはマンションの部屋にあるもうひとつのコートのポケットの中。
……何やってんだよ、俺は。すげぇ大切なことを忘れて。
……こんなんじゃかっこつかねぇな。
どうするか。
持ってねぇもんは渡せるわけねぇし、せめて言葉だけでもここで……。
頭をフル回転させていた時に、
「詩優」
と耳に届く俺を呼ぶ花莉の声。



