「イルミネーションは逃げないから、ゆっくり行こうな」
「うん!!」
そう返事をした花莉は、とにかく写真を撮りまくった。
イルミネーションを撮ったり、俺にカメラを向けて写真を撮ったり。
カメラを向けてきた時は、大人しく写真を撮られていたけど、それは何度も繰り返されるから。俺も彼女の写真をたくさん撮った。
そうしていたら、あっという間に人がたくさん集まるクリスマスツリーの前。
大きなクリスマスツリー。
それはやっぱり眩しいほどに輝いていて。
花莉も俺も、しばらくツリーに見とれていた。
そうだそうだ。
忘れちゃいけねぇな。
ここに来たら、絶対渡そうと思っていたもの。
それは、花莉への誕生日プレゼント。
プレゼントは、すぐに渡せるようにポケットの中にいれておいた。
それをとろうとポケットの中へと手を突っ込む、が。
入れておいたものが、ない。



