「絶っ対、予約しろよ!」

「わかったわかった」



俺のすぐ傍に、一緒に。



「もう、春だね」

「うん。春だな…」



年寄りのようなのんびりとした他愛もないセリフがポロッと出てくるほどの陽気は、何だか心地よくて。



「………」



そんな陽気を感じながら、自然と寄り添い。

君と二人で見る空はなんて贅沢なんだ、と思ったり。



お互い無言で春の空を仰いていたが。

ふと目が合うと、幸せな気分に乗せられ、ついキスを求めて顔を近付け覗き込んでしまう。

「ちょっ…」

なずなに驚かせる暇も与えずに、その唇を重ねた。



暖かい風が、ふわりと吹き込んだ。



「ちょ…キスばっかり」



唇を離すとすぐに、なずなは視線を下に落として、またモジモジとしだした。

顔を真っ赤にして、照れている。



「いいじゃん。付き合ってんだから」

「だ、だからってなぁ…こ、こんなに今日来てもう三回も…」

「回数の問題か」

「そ、そうじゃないし…」