その事実を誰も知らないなんて、遺された身内も叔父さんも浮かばれないと思った。

…これは、俺の勝手な考えで、理由も理由だし、叔父さんは誰にも知られたくなかったのかもしれないけど。

でも、叔父さんの記憶の映像には、よく幼少期の親父が出て来ていて。

せめて信頼を置いていた弟にだけは、その思いを、自分の思いそのものを知っておいて貰いたい。

そう思っているような気がしたんだ。



「兄貴の話?…ビックリした。まさか会ったこともないのに、そんな話を吹っ掛けられるとは」



親父の目は丸くなったまんまだ。言葉の通りで無理もないんだけど。



「い、いきなりでごめん」

「いや、別に良いんだけど。兄貴の話はゆくゆくおまえとしたいとは思っていたし」

「え?そうだったの?」

「…で、どんな話?昔話でもするか?…たまに話をしてやらねえと、忘れられたって泣いてるような気がするしな」



これには俺がビックリした。

まさか親父がそんなこと考えてくれていたなんて。

てっきり、悲しい過去だから口にしたくないのかと思っていたのに。



なら、話をしようじゃないか。



「……叔父さんの本当の死因なんだけど」