本当に、やってしまった…。

魔族一匹、俺の手で退治してしまった…。



もう、一般人には戻れない…!



…なんちゃってね。

この道を選んだ以上、もう戻らなくていい。

だからといって、それを公にするつもりもないんだけど。



そんなことを考えながら、地に転がっている漆黒の宝石を手に取り、握って拾い上げた。



(…さて)



帰るか。なずなの待つ我が家へ。



そう一息ついて、戦場となった野っ原を離れようと足を踏み込んだ。

ーーその時だった。





「…何?その顛末。どういうこと?」



ただならぬ寒気が体を過って、声の方へと顔を上げる。

その声の主は、背の高いシラカバの枝に腰掛けて、俺を上から見下ろしていた。

まるで鳥のように。

…黒い翼をはためかせながら。




「…今の白い炎、何?」




黒い翼の彼。

リグ・ヴェーダ…!