朝、忠晴にも指摘され「学校休みますか?」と窺われたけれど、そんな泣き腫らした目のために学校休んでいる場合じゃない。大会始まるのに。
なので、本日は恥を偲んで登校した。
「部室からアイスパック持ってきてやるか?」
「いや、いい…」
俺に気遣いを断られた川村は、気持ち憐れみの視線を送られる。
だが、「そうか…」と、詳しい事情は詮索されなかった。
俺の涙した理由は、何となく察しがついているんだろうか。
「じゃあ、なずぽに『LINEは返信せい』と伝えておいてくれ」
「……わかった」
…だが、川村が気付くなら、他の連中だって気付く。
教室に入ると、一斉に『どうした?』という憐れみと疑念が混じった視線を向けられる。
「伶士、その目…」
「き、気にしないで」
「え?ぴえん?どうした?何で?フランケンみたいだぞ?イケメンのフランケン?」
俺の顔を見るなり、眉間にシワを寄せて質問攻めしてくる陣内は、後ろから颯太に頭をバシッと叩かれている。
「痛っ!……え?何で?」
「馬鹿こら!」
余計なことは聞いてやるなと、お叱りを受けたらしい。
いや、別に気を遣わなくていいんですけど。
俺が勝手に泣いただけなので。