「微妙な発言は、奥様譲りですね。ですが、奥様は女性だから許されるのですよ。男性でしたらただのバカです」

「………」



忠晴、辛辣ですね。

お説教、いつにも増して痛い。



…ようするに、忠晴と菩提さんは。

親父がなずなを家に連れて来いと命令しているのを知りながら。

帰らないぞ!なずなといるんだ!…と、半泣きで頑張って訴えていた、何の事情も知らない俺を。

わー。こいつ、お望み叶うことも知らないで、半べそかいて頑張ってるわ。

でも、面白いからそのままにしとこ。

何なら、なずなは行くけど、おまえ一人でここに残る?ぷぷぷ。

…だなんて、心の中で思っていたに違いありません。



要するに、要するに。

やっぱり、俺はからかわれていたのです…!



(忠晴っ…!)



所詮、手の上で踊らされていたに過ぎないことを知ると、急に恥ずかしくなると同時に、ムカッ腹が立ってきた。

楯突いたもんだから、一杯食わされた…!

やられた…!



頭を抱えて恥ずかしさのあまり俯く俺を見て、忠晴はまた静かに笑う。



「私めに出し抜かれているようじゃ、まだまだです」



んにゃろっ…!