「何でだよ…何で、なずなはいつも俺のせいじゃないって言うんだ?」

「へ…?」

「俺のせいだって…俺に裏切られたとか、ふざけんなとか!…何で言ってくれないんだよ!」

「は…」

「俺の…俺のせいだろが…しっかり責めてくれよ!」



急に見当違いなことを言われて、なずなは目を丸くしてキョトンとしているようだが。

『しっかり責めろ』だなんて、俺はマゾでもないが。

そこは俺もわかってる。わかってるよ。



でも、許されないはずのことを仕方ないだとか許そうとするそのなずなのスタンスが、俺にはどうも気に食わない。

その気持ちが、つい前に出てしまった。

確かに仕方ないことなのかもしれないけど、俺にとっては罪の意識が大きすぎて。

責められでもしなければ、正直やってられない。

なのに…。



「責めろだなんて、おまえMだっけ」

「うるせえな」

「…出来るかよ、そんなこと。操られていたんだっつってるだろ…」

「何でだよ!」



それに、その仕方ない許されるスタンスこそ。

俺たちの間の、大きくて分厚い壁の存在を感じざるを得ない。

どれだけ中に踏み込もうとも、躱されているような気がしてならない。