そして、席に着いてしばらく待つと出てくる出てくる前菜たち。
『………』
なずなの顔に「肉は?」と書いてある。
やはり…。
『随分と焦らしてくるのね…』
『もう出て来るから、もう少し待て。レンズ豆でも食ってろ』
『ふぬぬ…』
何だその苦悶の表情は。トイレに行きたそうな…。
肉の前にレンズ豆を味わう余裕もないのか!
少しでいいから、大人になれ!
しかし、そんな眉間にシワを寄せた難しい顔も、ほかほかの肉がようやく目の前に出てくりゃ、つるんと緩んでしまう。
『ふぉおおぉぉ…!ついに、ついに出てきましたよ…!』
『………』
肉から立ち上る湯気を顔に浴びて、ヤツは匂いを堪能しているようだ。
やれやれ。
『今日、この日のために拷問罰ゲームのような入院生活を潜り抜けてきたのだ、私は…!そして今、ようやくそれが報われようとしている』
『………』
いったいこれは、何の時間だ。
なずな、肉を食べる前説の時間?レベルアップしてんな。
『で、それでどうした』
『…えぇい!御託はいいわ!』
『………』
御託並べてんの、おまえだろがよ。



