わかる。…わかるんだよ、おまえの考えてること。恐ろしいぐらいに。

恐ろしすぎて、動悸に近いぐらいの胸の痛みに襲われる。



俺が大丈夫なら、それでいい。

…自分はどうなっていても。



何故ならば、それは『指令』だから。

任務遂行したまでのこと。



だが、そんな恐ろしいことを簡単に言ってのける『陰陽師』はイカれていると、これほど思ったことはない。

命、かかってたんだぞ…?



なずなの安否がわからない中、俺も川村もどんな思いを抱えてここにやってきたと思ってるんだ?

まさか、俺が無事で、ミッション成功して満足してるんじゃねえだろな?

だとしたら…大間違いだ!



今すぐに、ここから飛び出して一言怒鳴ってやりたい衝動に駆られる。

…だが。



「なずぽ!…おまえ、何なんだよ!」



俺と同じような感情を持ってるヤツが、先に口を開いてしまった。

川村だ。

その後ろ姿は、肩をブルブル震わせている。



「なずぽんこと心配して来とるっつーのに、そのきゅうり状態で『運良く』とか『私のことはいい』とか何だい!おめえが一番やばすだろ!」