川村の声が低くなり、語尾が上がる。

少しイラっとした口調だ。

…いや、その気分はわかる。

この萎びたきゅうり状態を『運良く』と表現して、こっちが具合如何程か聞いてんのに、スルーしようとするなんてどうかしてる。

なずなの心配してこうして来てるんだから、そこは重要だろ。

なのに、そんな『まあまあ』で避わされちゃ、俺だって、川村と同じ反応をしたかもしれない。



そして、今度はなずなが川村に窺う。



「…学校、どうよ」

「特に変わらないぞ。おまえさんは体調不良で休みになってる」

「ふーん…じゃあ、伶士は?…どうだ?」



名前を出されて、目を見張る。

こんな状況でも、俺の身の上を案じるような…?



「伶士殿?昨日は休んだが、今日から学校に来とる」

「ふーん…ならいい」

「いいって…連絡してんのか?」

「あ、いや…今はちょっと無理」

「無理?なぜ」

「まあまあ…。とにかく、伶士が大丈夫ならそれでいいんだ。問題ない…」



このやり取りに、愕然としたのは言うまでもない。

ゾワっと背筋が凍り、身震いしてしまう。